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結論からいうと、freee会計は簿記に慣れていない人でも始めやすい会計ソフトです。
私は経理事務を22年経験していますが、会社の経理と個人の副業の帳簿づけでは、少し勝手が違います。
freee会計は、取引を質問形式で入力できるなど、簿記の知識が少ない人でも操作しやすい仕組みになっています。
ただし、freeeを使うだけで青色申告の要件を満たせるわけではありません。
青色申告特別控除には、記帳方法や確定申告の方法などの条件があります。たとえば65万円の青色申告特別控除を受けるには、55万円控除の要件に加えて、e-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存の要件を満たす必要があります(くわしくはこちら)。
この記事では、freee会計を使い始める手順と、青色申告をする場合に知っておきたいポイントを、経理経験者の目線から書いていきます。
現場から経理歴22年のゆい
先に立場を書いておきます。私はfreeeを本業では使っていません。本業の会社で使っているのは、法人の基幹業務向けのソフト(ミロク情報サービスの「ACELINK」)です。副業のほうも、ブログからの収益はまだ0円なので、確定申告をしたことがありません。
ではなぜこの記事を書くかというと、「簿記を知らない人が、ひとりで確定申告まで行けるか」という視点で見られるからです。私は簿記を覚えてから経理に入ったので、その順番でなくても進める道があるのか、というのは気になるところでした。
この記事は、freeeの公開情報と、経理として帳簿を22年つけてきた目で見た内容です。「使ってみたらこうでした」という感想ではありません。実際の画面や使い勝手は、無料の期間に自分の手で試して確かめてください。会計ソフトは、合う合わないが人によってはっきり分かれます。
ちなみに、法人向けと副業向けは選ぶ基準がまったく違います。そのあたりはクラウド会計ソフト3社比較に書きました。
始める前に用意するもの
- メールアドレス
- 事業用に使う銀行口座・クレジットカードのログイン情報(連携用)
- (青色申告する人)開業届・青色申告承認申請書の控え(まだなら開業届の記事へ)
ステップ1:無料登録する
メールアドレスで登録すると、無料お試しで主要機能を体験できます。プランはお試し期間中に決められます。プランの中身と金額は変わることがあるので、申し込む前に公式サイトで確認してください。
ステップ2:最初の質問に答えて基本設定を済ませる
登録すると「事業の種類は?」「青色申告?白色申告?」といった質問が続きます。ここに答えるだけで初期設定が完了する仕組みです。迷いやすいのは次の2つ:
| 質問 | 答え方のポイント |
|---|---|
| 申告の種類 | 青色申告には、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除などのメリットがあります。自分が要件を満たせるか確認して選びましょう(要件はこちら)。違いは青色と白色の記事参照 |
| 消費税の設定 | 副業レベルなら多くは免税事業者のまま。インボイス登録している人だけ課税設定に |
ステップ3:銀行口座・クレカを連携する
「口座」メニューから銀行・クレカ・電子マネーを連携すると、明細が自動で取り込まれます。コツは1つだけ:事業用に分けた口座・カードだけを連携すること。プライベートの取引が混ざると、登録作業が倍以上に膨らみます。
ステップ4:「自動で経理」で取引を登録する
取り込まれた明細は「自動で経理」という画面に並びます。freeeが「これは通信費では?」と推測してくれるので、合っていれば登録ボタンを押すだけ。間違っていれば正しい勘定科目を選び直します(次回から学習されます)。
「これは経費にできる?」——そう思ったら副業の経費へ。経費にできるものの一覧と家事按分が分かります。現金払いのレシートはスマホアプリで撮影すれば取り込めます。
ステップ5:家事按分と決算整理
年末〜申告前に、自宅の家賃・電気代・通信費などの家事按分(事業使用分の割合計算)を設定します。freeeは按分比率を入れると自動で経費計上してくれるので、按分の考え方だけ押さえておけば作業自体は簡単です。
ステップ6:確定申告書類を作成して提出
「確定申告」メニューで、また質問形式が始まります。「ふるさと納税はした?」「医療費は10万円超えた?」など、○×で答えていくと申告書と青色申告決算書が完成します。
提出はe-Taxにします。65万円控除を受けるための要件のひとつです(マイナンバーカード+スマホで自宅から出せます)。住民税を「自分で納付」にしたい会社員は、申告の流れの中で選択を忘れずに(詳細は住民税の普通徴収の記事)。
⚠ ソフトを使えば65万円控除、ではありません
ここは誤解が多いところなので、はっきり書いておきます。会計ソフトを使うこと自体は、青色申告特別控除の要件ではありません。要件は国税庁が決めていて、次のようになっています。
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 10万円 | 下の要件を満たさない青色申告者 |
| 55万円 | ・正規の簿記の原則(一般には複式簿記)で記帳している ・貸借対照表と損益計算書などを添付して、期限内(原則3月15日)に申告する ・現金主義の特例を選んでいない |
| 65万円 | 55万円の要件に加えて、e-Taxで申告書を送るか、仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存している |
freeeが助けてくれるのは、複式簿記の帳簿を作るところと、決算書やe-Taxでの提出をやりやすくするところです。ソフトがあっても、入力をしなければ帳簿はできませんし、期限に遅れれば55万円・65万円の控除は受けられません。
くわしい要件は青色申告と白色申告の違いにも書いています。
freeeが向いている人・向いていない人
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 簿記の知識がない・覚える気もない | 簿記2級以上で仕訳を直接切りたい(→マネーフォワードが快適) |
| 質問に答える形式が好き | 従来型の会計ソフトの画面に慣れている |
| スマホ中心で完結させたい | 初年度コスト最優先(→弥生の初年度無料) |
クラウド会計ソフト3社比較では3社の違いとタイプ別の選び方をまとめています。「会計ソフトはどれを選べばいい?」と迷ったときに読んでみてください。
この経験は、副業でこう活きます
freeeを触っておくことには、2つの意味があります。
① 自分の副業の申告に使える
副業の収入が出たら、自分で帳簿をつけて申告することになります。そのときに慣れたソフトがあると、時間がかかりません。
② 「freeeの案件」を受けられる
経理の副業は、会社が使っているソフトを指定されることがほとんどです。募集に「freee」と書かれていて、触ったことがなければ、そこで終わります。
逆に、少しでも自分で使っていれば、こう言えます。
「freeeは自分の帳簿で使っています。口座の連携と、自動で出てくる仕訳の直し方は分かります」
これだけで、相手の不安はかなり減ります。資格の話より効くことがあります。
気をつけたいこと
freeeは自動で仕訳の候補を出してくれます。便利ですが、出てきた科目が、その会社にとって正しいとはかぎりません。自分の帳簿なら直せばいいだけですが、人の会社の帳簿では確認が要ります。ここは副業になったときに変わるところです。
まとめ
- 無料登録して操作感を試す
- 質問に答えて青色申告の設定にする
- 事業用の口座・カードだけ連携
- 「自動で経理」は確認して登録するだけ
- 家事按分は比率を入れれば自動計算
- 申告書も○×形式で完成。65万円控除には、下に書いた要件を満たす必要がある
会計ソフトは取引が少ないうちに導入するほど移行がラクです。「確定申告の直前」ではなく「副業を始めた今」が一番ラクなタイミングです。
参考・出典(公的機関のサイト)
※税制は改正されます。また同じ内容でも、所得の金額・勤務先の状況・お住まいの自治体によって扱いが変わることがあります。機能・プラン・無料期間の内容は執筆時点(2026年6月)の一般的な情報に基づきます。最新の仕様・料金は必ず公式サイトでご確認ください。税務の具体的な判断は税務署または税理士にご相談ください。
